コンテナガレージ

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パート1(2)-3

「どちらで僕を知ったのでしょうか?」

「視野を失くされた時です」

「病院にあなたがいたのですか?」

「病院の関係者があなたに関与した、と申しておりました」

「その方は見返りを頂いたのですね?」

「はい。密告ですから、金銭が目当てだと想像がつきます」

「いいえ、あなたがたが依頼した、という可能性をお忘れなく。視野を失った僕を見て、有益な情報に結びつけるのは非常に難しい、あなたの苦しい事実のすり替え。嘘をつかれるのならば、早々に立ち去って。いいえ僕が駅に入りましょうか?」

「申し訳ありません。はい、これからは事実だけをお伝えします」

「言葉は軽いですね。それで?データをあなた方の事業に転用するのが訪問の目的ですね」

「お見通しなら話が早い。おっしゃるとおり、現存のデータ及び今後数年のデータを私どもの会社に提供する契約を結んで欲しいのです」

「まだ僕が選ばれた理由が説明されていません」制服の生徒がどんどん駅に吸い込まれる、突風に帽子を抑える。

「あなたはその年齢において我々と同義、いやそれ以上の観測指標を、整然と説明可能な頭脳を持っています。あまりご両親には見せておられないようですがね」後半の推察は一か八かのかけである。彼の確率が五割を超えたのだろう、実に短絡的な選択。

「親は超えられないから子供を作るのです。教えるばかりに、自分が子供より有能であると錯覚する、浅はかな生き物です。揶揄ではありません。それが親のあり方なのです。だから、世に生み出し、生活に張りを持たせ、一人では飽き足りた時間に、虫の息に呼吸を再開させた、いわばリセット。恐怖から逃げたのです、普遍とありきたりと風習と習慣に上手に薄めて」

「……ご両親とはあまり仲はよろしくないようですね」苦笑い、僕は左側の頬を釣り上げた。女子高生は一人でしゃべっている。人が通り過ぎた時にだけ、男と僕に触ったり、顔を向けている。

「視野の回復はありきたりな手法ですが、何故当人の見解が必要なのでしょうか?」

「おっしゃるように細胞レベルの観測は実験によって確実な結果が出ています。ただ、視野の復調を促すまでにいくらかのタイムラグが生じ、機能回復との連動性はかなり薄い。しかし、あなたは詳細なフィードバックをデータと共に、観測を可能とする」

「当然です、痛みを抑えてから傷は修復される。見回りの車ですね」僕は男に教える。定期的な時間に、学校が下校を見張る職員を最寄り駅に送るのだ。