コンテナガレージ

小説・日常の情報を発信

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

次に、演者をお披露目8-2

 違う。

 また、涙。

 お祭り、海沿い、豊漁を願う祭り。にぎわうテントを抜け出して私は写真をとってもらった。着ぐるみと並んだポラロイド写真。私はもう一つ露店の人形が欲しくて、母親にねだったのだ、みんなが持っていて私が持っていないもの。しかし、手にした写真が先に願いをかなえて、本当を失わせる。二つ目の要求は母親に却下された。「どうして、きちんと選ばなかったのか」、と母親に言われて、私はただ首を振るしか答えられなく、家に帰るまで眠るまで私は泣いていたのだった。

 今の私は私の求めに応じていない、ということだろうか。

 わからない、だけど、泣いてる。

 おかしい。楽しいのではない、卑屈なのだ。笑える。

 私はこういう奴だ、昔から、そう、いつもタイミングが悪いのだ。

 周囲のせいにしてこなかっただけでも、合格点はあげるべき。

 歌いきる。私はだれだろう?問いかけるが、もちろん私の中にも答えてくれる人も欺いていた過去も、無反応。

 それでも、私は息を吸える、そしてまた歌おうとしてる。ずいぶんと成長したものだ。

 天井を眺めた。

 タバコを取り出して煙を吐いたら、開けた窓が煙を押し返した。

 取り戻すため……、観客はもしかすると過去の私に再び影響されるのかも。

 それから、私はギターを引き続けた。